5月21日のNHK「ブラタモリ」は、私の地元横浜でした。
横浜駅のすぐ近くに、いわゆる「お台場」の阯があったとか、子供の頃から住んでいる私お知らなかったことがたくさん出てきました。
中でも、横浜といえば港から発展した町ですが、必ずしも日本最大の貿易港となるほど良い条件があったわけではないというのは驚きでした。
しかし、横浜〜川崎〜東京に至る東京湾を大きく発展させたのが今も残る「京浜運河」の存在。
それを明治20年代から作ったのが、浅野総一郎という実業家でした。
東京湾には、横浜から干潟が広がっていて、船が座礁しやすく、大きな船が通るには適さなかったのを、干潟の土を使った防波堤に守られた運河を作って運行を可能にすることに、浅野は気づいたのでした。
そして、この地域にセメント工場(浅野セメント=今の太平洋セメント)、造船所(浅野造船所=後に合併を経て日本鋼管)、海運会社といった会社を次々と設立し、京浜工業地帯の礎を築いたのでした。
テレビではここまででしたが、こうした企業の設立には、大河ドラマ「青天を衝け」の渋沢栄一や、みずほ銀行につながる安田(富士)銀行を作った安田善次郎などが、浅野の才能や人柄を見込んで支援したことが、大きな力になりました。
このあたりの人間関係を描いた小説が、城山三郎「野性のひとびと」(文春文庫)です。
三井、三菱といった明治以前からの大財閥と並ぶ財閥を明治末期から一代で作り上げた、浅野総一郎をはじめ、安田、そしてホテルオークラの大倉財閥を作った大倉喜八郎など、明治の起業家、経済人を生き生きと描いた「野性のひとびと」は、小さな本ですが読む人に元気を与えてくれます。
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